【うちエコ診断】診断士と一緒に、今の住まいでできることを考えてみた
トピックス県内事例
ご家庭の年間エネルギー使用量や光熱費などの情報をもとに、暮らしに合わせた対策を考えることができる「うちエコ診断」。
(https://www.uchieco-shindan.jp/)
今回の受診者は、盛岡の中心市街地の分譲マンションに家族2人(夫婦)でお住まいの方でした。受診者様は普段から省エネを意識した暮らしをしており、「現在の自宅のエコロジー度」や「自宅でどこまでCO2が削減できるか」、「省エネでお得になるか」といったことを知りたいとのことでの今回の受診でした。
アンケートデータを基にした現状の排出量は、自動車の燃料を含んで、同地域の人家族世帯の平均であると比較して3割も低い3.9tでした。
平均比較のグラフ(上図)を見てわかるように、ガスと灯油の使用はなく電気だけで住まいのエネルギーを賄っており(オール電化住宅)、その電気使用量もさほど大きくなかったことが、CO2排出量が平均より低くなった要因でした。
CO2排出量の内訳を見てみると(上図)、最も多かったのが給湯節水で34%、次いで自家用車が27%と多く、一般的に多くなるはずの暖房由来CO2排出が5%ほど(!)しかありませんでした。
暖房由来CO2が少ないのは、このご家庭で暖房をコタツしか使っていないことが原因でした。断熱性能がとても高い家というわけでもないのですが、なんと、エアコンも床暖房も電気ヒーターもなしに生活できているというのです(!)。話を伺うとお部屋の温度は低くても10℃程度で、エアコンをつけなくても生活できているとのことでした。おそらくは住まいがマンションということで、上下左右の部屋の暖房エネルギーの恩恵を少なからず受けていると思われました。
「給湯節水」分野でできることを検討した結果・・・
今回のご家庭で最もCO2の排出が大きかったのは「給湯節水」分野でしたので、まずこの分野でどうしたらCO2が減らせるか一緒に検討しました。
より詳しくお話を伺うと、受診者様のさらなる驚きの暮らしぶりが見えてきました。洗面でお湯をほとんど使わず、お風呂ではシャワーも使っていないとのことで、かなり徹底して省エネに取り組んでいるようでした。もちろん季節によっては、シャワーだけのほうが浴槽にお湯を張るよりも省エネになりますが、受診者様は浴槽に水を溜めておくことで災害時の非常用水としての利用も考えているとのことでした。とても素晴らしい取り組みだと思います。
さて、ここまで徹底されていると、提案できることは「給湯器の買い替え(エコキュートの導入)」や「節水トイレの導入」といった省エネ機器の導入に限られてきます。
ただし、今回のようにある程度の築年数が経過したマンションの場合(建て替えも検討されているとか、省エネ機器の導入には耐用年数を考慮することが重要です。金銭的なシミュレーションを実施したところ、エコキュートの導入には初期投資が大きくて金銭的に負担になるほか、節水トイレも初期投資を回収するのに18年ほどかかる見込みで、いずれも対策として採用するのは現実的でありませんでした。
次いでCO2の排出が大きかったのは「自動車」分野でした。ところが、受診者様はエコドライブを徹底されているほか、車も比較的新しいものでしたので、ここでも効果的かつ現実的な省エネ提案はありませんでした。
さらに検討を進めていった結果、「調理食洗」、「冷蔵庫」、「照明」の分野で、取り組めそうな対策がありました!
うちエコ診断士からのアドバイス
調理食洗
食器洗い機や電気ポットの使用はなく、夏場の食器洗いでもお湯を使用せず、炊飯ジャーの保温もしていないとのことで、現状でも既に相当のCO2削減になっています。その他にできるとすれば、台所の水栓を節湯型に交換することが挙げられます。既存のシングルレバー水栓は知らずにお湯を使っていることもありますので、お湯側にしっかり回して初めてお湯が出る仕組みとなっている「節湯水栓」を導入することでさらなる省エネが図れます。初期投資も8年ほどで元が取れますので、検討してみてください。
(参考提案)
☑ 台所の水栓を節湯型に置き換える(CO2:年27kg減、水道光熱費約3,000円減)
冷蔵庫
現在使用されている冷蔵庫はそれほど古いものでもないので、最新の省エネ型冷蔵庫に買い替えても大きな節約効果は期待できません(元は取れません)。お話を聞く限り、冷蔵庫に食品を隙間なく詰め込むような使い方はされていないので、冷蔵庫の温度調節を1段階弱く設定することをお勧めします。これにより1割程度省エネができます。
(参考提案)
☑ 冷蔵庫の設定を弱くする(CO2:年17kg減、光熱費約900円減)
照明
主に使用されるお部屋の照明はLED化されていて、照明全体としても大きなエネルギー損失はありません。ただし、廊下の一部に使用している白熱球は、早めにLEDに交換することをお勧めします。電球が切れるまではそのまま使い続けたいという受診者様の「モノを大事にする」お気持ちも大切ですが、すぐにでも交換したほうが省エネメリットは大きくなります。
(参考提案)
☑ 廊下の電球をLED電球に付け替える(CO2:年10kg減、光熱費約500円減)
今回の受診で提案した対策は以上で、CO2の削減可能量としては54kgでした。これは排出量の1%に過ぎませんが、植樹で考えると約5本分のCO2削減効果に匹敵します。
まとめ
今回の受診者様は、ご家庭でムリなくできることはほとんど、既に取り組んでいました。これ以上大きくCO2排出量を下げるには、給湯器を変えるか、太陽熱温水や太陽光発電などの設備機器を導入するか、といったことが考えられます。これらの対策はいずれもマンションの共用部にも影響しかねないものですので、慎重に検討する必要があります。
逆に考えると、マンションの建て替え時に省エネを意識して建て替えすることで、そのマンションにお住いの方全員がエネルギー消費量(=CO2排出量)を大きく低下させることができるため、これからマンションやアパートの建て替えを検討されている方々には、ぜひこれらの省エネを検討して欲しいと思います。
受診者Kさんの感想
今回、うちエコ診断を受診して第三者の目で客観的に、評価することは手段としてありだと強く感じ、省エネやエコへの取り組みを住民各世帯に広く周知するための一助になると思います。
また、東日本大震災時のライフラインの確保で実施している施策が省エネやエコにつながっているということを改めて認識し生活の継続性の観点で重要なことだと思いました。
自分では、何気なく普段生活しているレベルが贅沢の域にあると感じていましたが診断ツールで評価すると意外にも省エネに取り組める分野が少ないことに気づかされました。アドバイスいただいた廊下の一部の白熱球は切れたら取り換えようと準備していましたがCO2削減のためすぐにでも取り換えようと思います。
今回の受診により集合住宅の制約によって、更に省エネに取り組める項目が制約されるジレンマを感じ、建屋の再構築の際には省エネの取り組みに意識した再建築計画が必要であることを強く感じました。
参考資料
※家庭エコ診断制度ポータルサイト
⇒https://www.uchieco-shindan.jp/
※あなたに合ったエコ対策を。「うちエコ診断」を受けてみませんか?(いわてわんこ節電所)
⇒https://www.co2-diet.com/topics/detail.php?id=437
※断熱・水回りの省エネについて、最新設備を使うとどんなメリットがあるのか紹介します!(COOL CHOICE ホームページ)
⇒https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/topics/20190124-01.html
※「みんなでおうち快適化チャレンジ」(COOL CHOICE ホームページ)
⇒https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/kaiteki/
(https://www.uchieco-shindan.jp/)
今回の受診者は、盛岡の中心市街地の分譲マンションに家族2人(夫婦)でお住まいの方でした。受診者様は普段から省エネを意識した暮らしをしており、「現在の自宅のエコロジー度」や「自宅でどこまでCO2が削減できるか」、「省エネでお得になるか」といったことを知りたいとのことでの今回の受診でした。
アンケートデータを基にした現状の排出量は、自動車の燃料を含んで、同地域の人家族世帯の平均であると比較して3割も低い3.9tでした。
平均比較のグラフ(上図)を見てわかるように、ガスと灯油の使用はなく電気だけで住まいのエネルギーを賄っており(オール電化住宅)、その電気使用量もさほど大きくなかったことが、CO2排出量が平均より低くなった要因でした。
CO2排出量の内訳を見てみると(上図)、最も多かったのが給湯節水で34%、次いで自家用車が27%と多く、一般的に多くなるはずの暖房由来CO2排出が5%ほど(!)しかありませんでした。
暖房由来CO2が少ないのは、このご家庭で暖房をコタツしか使っていないことが原因でした。断熱性能がとても高い家というわけでもないのですが、なんと、エアコンも床暖房も電気ヒーターもなしに生活できているというのです(!)。話を伺うとお部屋の温度は低くても10℃程度で、エアコンをつけなくても生活できているとのことでした。おそらくは住まいがマンションということで、上下左右の部屋の暖房エネルギーの恩恵を少なからず受けていると思われました。
「給湯節水」分野でできることを検討した結果・・・
今回のご家庭で最もCO2の排出が大きかったのは「給湯節水」分野でしたので、まずこの分野でどうしたらCO2が減らせるか一緒に検討しました。
より詳しくお話を伺うと、受診者様のさらなる驚きの暮らしぶりが見えてきました。洗面でお湯をほとんど使わず、お風呂ではシャワーも使っていないとのことで、かなり徹底して省エネに取り組んでいるようでした。もちろん季節によっては、シャワーだけのほうが浴槽にお湯を張るよりも省エネになりますが、受診者様は浴槽に水を溜めておくことで災害時の非常用水としての利用も考えているとのことでした。とても素晴らしい取り組みだと思います。
さて、ここまで徹底されていると、提案できることは「給湯器の買い替え(エコキュートの導入)」や「節水トイレの導入」といった省エネ機器の導入に限られてきます。
ただし、今回のようにある程度の築年数が経過したマンションの場合(建て替えも検討されているとか、省エネ機器の導入には耐用年数を考慮することが重要です。金銭的なシミュレーションを実施したところ、エコキュートの導入には初期投資が大きくて金銭的に負担になるほか、節水トイレも初期投資を回収するのに18年ほどかかる見込みで、いずれも対策として採用するのは現実的でありませんでした。
次いでCO2の排出が大きかったのは「自動車」分野でした。ところが、受診者様はエコドライブを徹底されているほか、車も比較的新しいものでしたので、ここでも効果的かつ現実的な省エネ提案はありませんでした。
さらに検討を進めていった結果、「調理食洗」、「冷蔵庫」、「照明」の分野で、取り組めそうな対策がありました!
うちエコ診断士からのアドバイス
調理食洗
食器洗い機や電気ポットの使用はなく、夏場の食器洗いでもお湯を使用せず、炊飯ジャーの保温もしていないとのことで、現状でも既に相当のCO2削減になっています。その他にできるとすれば、台所の水栓を節湯型に交換することが挙げられます。既存のシングルレバー水栓は知らずにお湯を使っていることもありますので、お湯側にしっかり回して初めてお湯が出る仕組みとなっている「節湯水栓」を導入することでさらなる省エネが図れます。初期投資も8年ほどで元が取れますので、検討してみてください。
(参考提案)
☑ 台所の水栓を節湯型に置き換える(CO2:年27kg減、水道光熱費約3,000円減)
冷蔵庫
現在使用されている冷蔵庫はそれほど古いものでもないので、最新の省エネ型冷蔵庫に買い替えても大きな節約効果は期待できません(元は取れません)。お話を聞く限り、冷蔵庫に食品を隙間なく詰め込むような使い方はされていないので、冷蔵庫の温度調節を1段階弱く設定することをお勧めします。これにより1割程度省エネができます。
(参考提案)
☑ 冷蔵庫の設定を弱くする(CO2:年17kg減、光熱費約900円減)
照明
主に使用されるお部屋の照明はLED化されていて、照明全体としても大きなエネルギー損失はありません。ただし、廊下の一部に使用している白熱球は、早めにLEDに交換することをお勧めします。電球が切れるまではそのまま使い続けたいという受診者様の「モノを大事にする」お気持ちも大切ですが、すぐにでも交換したほうが省エネメリットは大きくなります。
(参考提案)
☑ 廊下の電球をLED電球に付け替える(CO2:年10kg減、光熱費約500円減)
今回の受診で提案した対策は以上で、CO2の削減可能量としては54kgでした。これは排出量の1%に過ぎませんが、植樹で考えると約5本分のCO2削減効果に匹敵します。
まとめ
今回の受診者様は、ご家庭でムリなくできることはほとんど、既に取り組んでいました。これ以上大きくCO2排出量を下げるには、給湯器を変えるか、太陽熱温水や太陽光発電などの設備機器を導入するか、といったことが考えられます。これらの対策はいずれもマンションの共用部にも影響しかねないものですので、慎重に検討する必要があります。
逆に考えると、マンションの建て替え時に省エネを意識して建て替えすることで、そのマンションにお住いの方全員がエネルギー消費量(=CO2排出量)を大きく低下させることができるため、これからマンションやアパートの建て替えを検討されている方々には、ぜひこれらの省エネを検討して欲しいと思います。
受診者Kさんの感想
今回、うちエコ診断を受診して第三者の目で客観的に、評価することは手段としてありだと強く感じ、省エネやエコへの取り組みを住民各世帯に広く周知するための一助になると思います。
また、東日本大震災時のライフラインの確保で実施している施策が省エネやエコにつながっているということを改めて認識し生活の継続性の観点で重要なことだと思いました。
自分では、何気なく普段生活しているレベルが贅沢の域にあると感じていましたが診断ツールで評価すると意外にも省エネに取り組める分野が少ないことに気づかされました。アドバイスいただいた廊下の一部の白熱球は切れたら取り換えようと準備していましたがCO2削減のためすぐにでも取り換えようと思います。
今回の受診により集合住宅の制約によって、更に省エネに取り組める項目が制約されるジレンマを感じ、建屋の再構築の際には省エネの取り組みに意識した再建築計画が必要であることを強く感じました。
参考資料
※家庭エコ診断制度ポータルサイト
⇒https://www.uchieco-shindan.jp/
※あなたに合ったエコ対策を。「うちエコ診断」を受けてみませんか?(いわてわんこ節電所)
⇒https://www.co2-diet.com/topics/detail.php?id=437
※断熱・水回りの省エネについて、最新設備を使うとどんなメリットがあるのか紹介します!(COOL CHOICE ホームページ)
⇒https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/topics/20190124-01.html
※「みんなでおうち快適化チャレンジ」(COOL CHOICE ホームページ)
⇒https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/kaiteki/